SOILをガソリンスタンドに落とした。
落としたことはたいしたことじゃない。
問題はその後だった。
帰宅して、ガソリンスタンドに落としたことに気づき
「aLeeと言いますが、カードケース落としちゃったんすけど」
と電話したところ
「あ。届いてますよ。大丈夫っす」
との答え。
助かった。
せいぜい1年とはいえ、せっかくじっくり育ててきたのに、またカードケースを一から育てるなんてやだな~。と思っていたのでホッとした。
ガソリンスタンドにSOILを受け取りに行ったら、兄ちゃんが奥の事務所から
「aLeeさんっすね。これっスよね」
と持ってきてくれた。
「あーこれです! いや~助かりま…し…た。」
このカードケースを「aLee」という男が取りに来る旨のメモが、SOILに貼り付けてあった。
このメモ、さっき俺が電話したとき、SOILを下敷きにし、ボールペンで書いたんだろう。
SOILに、俺の名前の痕跡が、くっきり刻み込まれていた。
……。
この時の落胆ぶりと言ったらない。
丹精込めて磨いてきたSOILに、突如俺の名前が刻まれたのだ。小学生かよ…。
しかし、落としたものを拾ってもらった手前、てめー跡がついとるがなー!
と叫ぶわけにもいかず、感謝だけして帰ってきた。
で、それから数か月たったわけだが…
LAST CROPS SOIL 1年2か月 | コバの感じ |
消えた。
革ってすばらしい。
凹みや傷が、数か月、じっくり時間をかけながら徐々に馴染んでいくんだな。